最終更新日:2011年6月
画面の構成要素
画面の構成要素は,大きく2つに分けられます.
- バイタルサイン欄,警報欄,記号欄,薬剤欄と,それら4つに共通の時刻数字欄です.これらは同じ横幅と時刻範囲を持ち,左右(時刻)スクロールに対して常に連動します.
- 押しボタン,コメント表示欄,各種計算値表示などの左右スクロールしない部分.これらは基本的に時刻とは無関係です.
そこで[metaCHart]では画面のレイアウトを決めるのに screen と sheet という2つの概念を用います.
screen は1に挙げたもので,共通の左端座標と右端座標を持ちます.上端座標と下端座標は個々に定義されます.警報欄と記号欄は上下端座標を持ちます.薬剤欄は上下端の間を別途(iocnf.txt で)定義する本数に分割され,横罫線が引かれます.バイタルサイン欄は上下端の間を“trend_divide”個に等分し(上下縁を含め“trend_divide + 1”本の横罫線が引かれ)ます.それぞれの横罫線は強調(太く)するか(あるいは普通の太さのままにしておくか) どうかを“trend_thick_line”で指定することができます.これらの横罫線に各種の縦軸を割り当てます.ある縦軸はバイタルサインをプロットする際の位置計算だけに用いられ,ある縦軸は左右に縦軸目盛り数字を書くためだけに用いられます.もちろん両方の機能を兼ね備えることもできます.
前記の標準座標(標準横幅 std_width と標準縦幅 std_height)は,この screen ごとに定義されます.標準座標はウィンドウ左上隅が原点(x=0, y=0),右下隅は(x=std_width, y=std_height),つまり X 座標は右向きに,Y 座標は下向きに増加します.一方,バイタルサイン欄内部の縦軸を決めるための trend_divide は下端が0番目,上端が trend_divide 番目で, 上へ行くほど値が大きくなります.つまり標準座標の Y 座標とは逆方向に刻んでいます.
screen は最大16面まで,sheet は24面まで作ることができます.
ちなみに横方向の刻み方(縦罫線)は parcnf.txt の abscissa で,バイタルサインパラメータごとに指定します.
印刷時には std_width>std_height なら用紙は横長,std_width<std_height なら縦長に,プリンタを自動的に設定します. プリンタのプロパティでの設定は無視されます.
sheet は個別の画面を意味します.上記の screen(複数枚)の,どれか1つを含み,かつ上記2のパーツ多数個を含みます. screen を1つも含まない sheet を作ることはできません.ただし各欄にありえない座標値(-9999 など)を指定して描画範囲外へ追い出したダミーの screen を作っておいて,それを sheet 内で指定することはできます.そのばあいでも std_width とstd_height は意味を持ちます.
個々の sheet がウィンドウメニューの「表示」メニューの中にそれぞれ名前をつけて表示されます.あるいは画面右のタブで選択できます.ユーザーがメニューやタブで選択できるのは screen ではなく sheet です.各ボタンや文字表示が,どのシートに表示されるのかは sheet 節の中ではなく,各パーツ(ボタンや文字表示)の個々の定義文に書かれています.sheet は最大12 面まで作れます.
screen
- number
この screen が何番目であるかの番号を指定します.この番号を使って後述の sheet 節の中でscreen を指定します. - std_width
標準座標で記したウィンドウ横幅です. - std_height
標準座標で記したウィンドウ縦幅です. - background_bitmap
背景の画像(麻酔チャートの罫線など)を bmp ファイルで指定します.bmp ファイルは CONF フォルダ以下に置いてください.背景画が指定されたときはバイタルサイン欄,警報欄,記号欄,薬剤欄の罫線は描かれません. - trend_graph
yes か no で指定します.no としたばあいは,バイタルサイン,記号,アラーム,薬剤の欄(つまり全ての時間軸記録)は描画されません.したがって,以下の left から inout_bottom までは無視されます.no と指定されたスクリーン,つまり縦横のサイズとバックグラウンドビットマップ,パーティション(区切り線)だけを持ったスクリーンはサマリーページの印刷用に使用されます.(前述の dircnf.txt の print コマンド参照) - left
標準座標で記した.バイタルサイン欄,警報欄,記号欄,薬剤欄の左端位置です. - right
標準座標で記した.バイタルサイン欄,警報欄,記号欄,薬剤欄の右端位置です. - time_top
標準座標で記した.時刻数値のフォント上縁位置の Y 座標です. - time_base
標準座標で記した.時刻数値のフォント下縁位置の Y 座標です.
Y 座標は原則としてフォントの上縁の位置であらわすことにしましたので,今後は time_base ではなくtime_top を使ってください. - trend_top
標準座標で記した.バイタルサイン欄上縁の Y 座標です. - trend_bottom
標準座標で記した.バイタルサイン欄下縁の Y 座標です. - trend_divide
バイタルサイン欄の縦方向分割数です. - trend_pane
バイタルサイン欄の窓の区切りを trend_divide 単位で記します.たとえば,trend_divide を 37 にして,trend_pane = 0 37; とするとバイタルサイン欄全体が一つの窓になりますが,trend_pane = 0 10; trend_pane = 11 37; とすると画面下側の高さ 10 trend_divide の窓と上側の高さ 26 trend_divide の窓の,2つに分けられます.上下の窓の間隙には縦罫線は引かれません.trend_pane は最大4つまで作れます. - trend_thick_lines
バイタルサイン欄の横罫線のうち太く表示する線を,バイタルサイン欄下縁からの trend_divide 単位で1本づつ指定します.最大 16 本まで指定できます.実際には画面上での太さを変えるのではなく,画面上では濃い色と薄い色で太線と細線を書き分けています.印刷するときには実際に太さを変えています.画面上での色の指定と紙面での線の太さの指定は後述. - トレンドグラフ縦軸
バイタルサイン欄の縦軸を指定します.ここに書かれた縦軸は parcnf.txt 内の各パラメータの記述から参照されます.
縦軸名 = 軸下端 trend_divide 位置 軸上端 trend_divide 位置 軸下端の値 軸上端の値目盛数値表示位置 刻み値;
軸下端の値と軸上端の値の後ろにアスタリスク “*” をつけると,その数値を超えた値がきたときにもシンボルを表示します.たとえば, hipress = 0 26 -20* 240* left 2; は第0 trend_divide を(血圧値)-20mmHg に割り当て,第26 trend_divide を 240mmHg に割り当て,-20 より低い値や 240 より高い値が来たときには-20 や 240 のところに血圧のシンボルを表示します.“*”を書かないと範囲外の値はプロットされません.hipress という名前の縦軸はNBP やABP の描画に使われます.
left はバイタルサイン欄左側に目盛数値を表示することを意味します.その次の“2”は 2 trend_divide ごとに目盛数値を表示することを意味します.left の他にright,left2,right2 が使えます.left2 とright2 はleft と right のさらに外側に目盛数値を描きます.left3 やright3 はありません.left,right,left2,right2 のいずれも書かなければ,目盛数値は描かれません.末尾の“2”を省略すると1とみなします.縦軸は最大24個まで作れます.
縦軸名 = 縦位置; と書くと数値(文字)表示の Y 座標を指定します. - alarm_top
警報欄上縁の標準 Y 座標です. - alarm_bottom
警報欄下縁の標準 Y 座標です. - predict_top
標準座標で記した薬剤濃度予測欄上縁の Y 座標です. - predict_bottom
標準座標で記した薬剤濃度予測欄下縁の Y 座標です. - predict_ordinate
薬剤濃度予測欄の縦軸上縁の表示値と縦軸下縁の表示値を書いて下さい.グラフ縦軸は対数目盛です.ゼロや負の値は書けません.predict_top,predict_bottom,predict_ordinate を書かないかtop や bottom の値を負にすると薬剤濃度予測欄は作られません.予測モデルの記述は prdcnf.txt をご覧ください. - predict_decline_width
減衰曲線表示欄の横幅を標準座標で表します.これを書かないと減衰曲線は表示されません.減衰曲線とは持続投与を0にしたと仮定した各コンパートメント濃度予測グラフで,薬剤濃度予測欄の右隣に表示されます.この横幅が実際の時間の何分間ぶんを表示するかは prdcnf.txt 内で指定します. - remark_top
記号欄上縁の標準 Y 座標です. - remark_bottom
記号欄下縁の標準 Y 座標です. - inout_top
薬剤欄上縁の標準 Y 座標です. - inout_bottom
薬剤欄下縁の標準 Y 座標です. - partition
単なる画面上の装飾用の枠を表示するためのものです.- line_color
縁の色です. - fill_color
枠の内部の塗りつぶし色です. - line
図形の描き方のline と同じです.line_color で折れ線を描きます.座標は図形の中心を原点とするのではなく,ウィンドウ左上が原点です. - polygon
図形の描き方の polygon と同じです.line_color で折れ線を描き,内部を fill_color で塗りつぶします. line_color,fill_color,line,polygon は何度でも繰り返し書けます.
- line_color
sheet
- name
各ボタンや文字表示から,この名前で参照されます. - screen_number
何番目の screen を使用するか,番号で指定します.番号は0番から始まります. - tab
yes か no を指定します.yes を指定すると画面の縁のタブに名前が載り,タブで選択できるようになります. - menu
yes か no を指定します.yes を指定するとウィンドウメニューの「表示」メニューに名前が載り,メニューで選択できるようになります.tab も menu も no のばあい,ユーザーはそのシートを選択して画面上に表示できなくなります.印刷用シートなどユーザー画面から隠したいときは,そうしてください.
comment_column
手書きの麻酔チャートのバイタルサイン欄の右側や下側に作られている文字記載欄と同じようなものです.paperChart ではここに,記号に付けられたコメント(硬麻穿刺時の針の深さや挿管のチューブサイズなど)が記載されます.さらに薬剤欄右端に書ききれなかった薬剤の合計もここに記載されます.左上から横書きで書き始めます.枠の下まで書いたら右側に次の段を書きます.つまり横長の枠が指定されたら,いわゆる段組になります.
- sheet
シート名を指定してください. - left,right,,top,bottom
標準座標で枠の左右上下を指定してください. - divide
横幅(left からright まで)を何分割するか指定します.横長の欄を指定したときの段組にお使いください.指定しないとdivide=1; とみなされ段組は行われません. - font
フォントのサイズ(標準座標での高さ)です.常に不等幅フォントが使用されます. - color
文字の色です. - drug_title
薬剤合計量を書くときのタイトルです. - drug_qty
薬剤合計を各ページに記載する(every_spread)か,最後のページだけに記載する(latest_spread)かを指定します.
画面表示設定と印刷画面設定
以下,display_XX は画面表示の,print_XX は印刷用を表します.
display_thin_ruler_color
バイタルサイン,記号,薬剤欄の細い(薄い)罫線の色
display_thick_ruler_color
バイタルサイン,記号,薬剤欄の太い(濃い)罫線の色
display_ruler_font_height
目盛,時刻,バイタルサイン,記号,薬剤欄のフォントの高さ(標準座標)
display_ruler_font_color
目盛,時刻,バイタルサイン,記号,薬剤欄のフォントの色
display_background_color
画面背景の色
display_trend_pane_color
バイタルサイン欄内側の背景の色
display_remark_pane_color
記号欄内側の背景の色
display_inout_pane_color
薬剤欄内側の背景の色
wave_mark_color
波形ウィンドウの表示時刻を示すカーソルの色
scrollbar_color
ウィンドウ下縁のスクロールバーの色
sheettab_background_color
シートの切り替え用のタブの背景色
sheettab_placement
シートの切り替え用のタブの表示位置(right,left,top,bottom).
print_thin_ruler_width
バイタルサイン,記号,薬剤欄の細い罫線の太さ
print_thick_ruler_width
バイタルサイン,記号,薬剤欄の太い罫線の太さ
print_ruler_color
バイタルサイン,記号,薬剤欄の罫線の色
print_ruler_font_height
目盛,時刻,バイタルサイン,記号,薬剤欄のフォントの高さ(標準座標)
print_ruler_font_color
目盛,時刻,バイタルサイン,記号,薬剤欄のフォントの色
print_background_color
画面背景の色
chart_span_seconds
麻酔チャート紙面1ページ分の時間幅を秒数で.
chart_step_seconds
麻酔チャート紙面の時刻の左端を何分刻みで整定するかを秒数で.
chart_span_seconds と chart_step_seconds は画面上に麻酔チャートのページの切れ目を表示するためだけに使います. 何か別の切れ目を表示する目的に使っても構いません.
scroll_freeze_seconds
モニタデータ収集中に画面を左右スクロールした後,何秒後に現在時刻(右端)表示に戻るか.
tip_dialog
バイタルサイン欄にマウスポインターを放置すると,その時刻のバイタルサインを数値表示する小ウィンドウが出ます.それをチップ表示(チップダイアログ)と呼んでいます.
- font_height
フォントの高さを標準座標ではなく実ドット数で指定します.チップ表示はメインのウィンドウと違って,伸縮しません. - duration
何秒間表示し続けるか指定します. - switch
none を指定するとチップ表示を行いません.known を指定すると,parcnf.txt に記載されているパラメータだけを表示します.all を指定すると,全てのパラメータを表示します.all はハートモニタに新しいモジュールが追加されたときなどのデバッグ用です. - text_color
文字の色です. - background_color 背景の色です.
version_splash
NV.exe の「ご案内とヘルプ」メニューの「バージョン情報」で表示されるウィンドウです.任意の大きさのBMP 画像ファイルが使えます.貴院のロゴ画像などをご使用ください.サンプルファイルについている CLOSE ボタンは見せかけだけです.ウィンドウは画像のどの部分をクリックしても閉じます.
loading_splash
データファイル読み込んでいる間,表示し続ける画像ファイルです.
blank_splash
NV.exe の起動時に表示されるウィンドウです.任意の大きさの BMP 画像ファイルが使えます.貴院のロゴ画像などをご使用ください.サンプルファイルについている CLOSE ボタンは見せかけだけです.ウィンドウは画像のどの部分をクリックしても閉じます.クリックしなくても約5秒で閉じます.
文書の著作権について
マニュアルカテゴリーの本記事の内容については、越川先生のお作りになられたpaperChartマニュアルをPDFの媒体からwebへ記述変更させていただいているため、本記事内文書の著作権は越川先生にあります。
詳しくはこちらにも記載しています⇒https://gabunomi.info/pdf_manual/
(出典元:paperChart.net)
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