最終更新日:2011年6月
電子カルテ対応に伴う変更
電子カルテシステムへの検査レポートなどの添付はPDF文書または画像ファイルで行われるのが一般的です.本システムは電子カルテ側が指定するフォルダ (多くの場合,本システムが作動しているコンピュータからネットワークを介して他のコンピュータのフォルダ) へ,電子カルテ側が指定するファイル名 (多くの場合,手術番号や患者IDなどを組み合わせたもの) を付けて転送します.電子カルテシステム側はこのフォルダを数分毎に監視し,新たに作られたファイルがあれば,そのファイル名から患者を特定し,その患者のカルテに麻酔記録を添付します.
PDF 文書ファイルとして出力:
本システムのほかにAdobeAcrobat をインストールしていただく必要があります.AdobeAcrobat をインストールするとスタートメニューの「プリンタとFAX」にAdobePDF というプリンタが作られます.これを右クリックメニューで「通常使うプリンタ」に指定してください. さらに AdobePDF の右クリックメニューで「プロパティ」を選択して,表示されたプロパティ画面の「全般」タブの「印刷設定」でPDF 保存先フォルダ(電カルが指定するフォルダ)を指定してください.
PDF ファイル名の生成:
dircnf.txt の command の print 句のなかに id_string = ID 文字式名 ; のように記載してください.“ID 文字式名”はdircnf.txt の calc 節のなかで定義されている計算式の名前です.“ID 文字式名”の計算内容 demograph (‘ID’) などを直接ここに記入することはできません.計算式自体はどの設定ファイル(の calc { }の中)に書かれていてもかまいませんから, id_string = の右辺には必ず計算式の名前を書いてください.印刷(PDF ファイルであっても通常のプリンタであっても)の際に,この文字列がドキュメント名としてプリンタへ送られ,さらに送り先が AdobePDF であった場合,このドキュメント名に拡張子“.pdf”が付加されてファイル名になります.保存先のフォルダは AdobePDF が決めますので,id_string にフォルダ名まで含めても無視します.末尾に”.pdf”をつける必要もありません.通常のプリンタへ送る(紙に印刷する)場合には,このファイ ル名はプリンタスケジューラ画面の“ドキュメント名”として用いられるだけで,ほとんど無意味です.
本システムでは麻酔を開始してから患者IDや患者名が確定します.患者IDが入力される前に印刷されると正しい PDF ファイル名になりません.そこで,id_length=7; のようにして最小文字数(バイト単位)を指定していただきます.印刷時にファイル名がこの最小文字数未満であった場合,警告表示が出て,印刷は行われません.id_length=0; とすると警告表示は出ずに常に印刷が行われます.
例: id_string = 印刷ドキュメント名; id_length = 18; … calc { 印刷ドキュメント名 = ID 文字列 @ ‘_’ @ ( 記録開始秒 $ ‘yymmddHHMM’ ); } |
上記の例の id_string は患者IDと記録開始時刻を連結したものになります.
たとえば ”0123456_0801071134” の場合。
これは患者IDが 0123456 で麻酔記録開始時刻が 08 年 1 月 7 日 11 時 34 分と言う意味です.
そして最小文字数は ID が7桁と“_”と年月日時分秒で,18bytes です.この例の calc 節については dircnf.txt の末尾をご覧ください.
注: 生成できるファイル名は最大31バイトです.
画像ファイルとして出力(BMP 形式のみ):
本システムの他に特にインストールが必要なアプリケーションはありません.
印刷(PDF)と異なり,麻酔チャートの1ページが1ファイルになり,当然1症例の麻酔チャートが複数ファイルになることがあります.保存先フォルダを指定するときは id_string の計算式に含めてください.(この点は PDF 出力のときと異なります.)
例: BITMAP ファイル名 = ‘\\denkaru_gazou_torikomi_server\masui\’ @ ID 文字列 @ ‘_’; |
この場合,id_length はフォルダ名の部分(\\denkaru・・・masui\)含まない長さ(バイト単位)を指定してください.末尾に自動的に付加されるページ数や拡張子の字数も含めないでください.
CONF\dircnf.txt の calc { } の説明文もお読みください.
波形を PDF ファイルまたは BMP ファイルにする:
wave_viewer { } 内の print_id_string と print_id_length は波形表示機能 Wv.exe のプルダウンメニューの「印刷」のドキュメント名(つまりはPDFファイル名)の指定に,bitmap_id_string と bitmap_id_length は「ビットマップ」メニューの bitmapfile 出力のときに使用します.Wv.exe のファイル名指定は,Wv.exe が Nv.exe から起動されたときにしか使えません.Wv.exe 自体には計算機能はありませんので, ???.wna ファイルを Wv.exe にドラッグアンドドロップして開いたときには今までどおり,???.pdf というファイル名になります.
クリップボードへのコピー:
クリップボードへのコピーはテキストファイルと bitmap 画像だけです.EMF(enhanced metafile)形式はサポートしません.(EMF の取り出し方がわかりませんでした)
これも電カルへの画面貼り付け用です.キー操作「ctrl+C」は使えません.また他から麻酔記録画面への「貼り付け」もできません.NV.exe のクリップボード出力は command { } の中の clipboard { } をご覧ください.他のコマンドと同じくメニューとボタンが作れます.Wv.exe(波形表示画面)のクリップボードコピーは単にプルダウンメニューの「ビットマップ」から選択するだけです.設定は何もありません.画像のサイズ(ドット数)はビットマップファイル出力と共用です.
JSA(日本麻酔科学会)麻酔台帳システムへの出力:
本品はJSA 麻酔台帳システムによって定められた自動麻酔記録装置インターフェース機能を持ち,JSA 麻酔台帳へデータを送出することができます.
しかし JSA 麻酔台帳の機能そのものではありません.本品とは別に JSA 麻酔台帳システムをご用意ください.
JSA 麻酔台帳システムは,麻酔記録ソフトからのデータ受け取り方法として2種類の方法を備えています.
- 麻酔記録システムが作った JSA 麻酔台帳用データファイルを,ネットワーク上の特定の PC の特定のフォルダに転送し,JSA 麻酔台帳システムが毎日特定の時刻に,このファイルを自動的に取り込む機能.
- 麻酔記録システムが作った JSA 麻酔台帳用データファイルを,USB メモリなどに保存し,人力で JSA 麻酔台帳システムに読み込ませる方法.
「JSA 転送」メニュー(あるいはボタン)は,このための JSA 麻酔台帳用のデータファイル(XML 形式)を作成して保存します.
「JSA 転送」を選択すると,「既定のフォルダへ送出」と「フォルダを指定して送出」の2つの動作を選ぶことができます. CONF\dircnf.txt の jsa_transit_directory に転送先のフォルダを指定しておくと,「既定のフォルダへ転送」ボタンが使用でき,指定されたフォルダにデータファイルを作ります.「フォルダを指定して送出」ボタンで任意のフォルダに保存できます.
「既定のフォルダ…」は自動取り込みフォルダでなくてもかまいません.たとえば USB メモリが挿入されることを前提に,E:\??? などと指定することもできます.JSA 麻酔台帳に自動的に取り込ませる場合には,JSA 麻酔台帳管理者でログインして「自動麻酔記録装置IF」を選択し,「ファイル受け取りフォルダ」を指定してください.このフォルダは paperChart から見ると送り先フォルダになりますので CONF\jsa_transit_directory と同じフォルダでなくてはなりません.この動作は BIN\JD.exe が行います.CONF\jsatmplt.txt はXML 形式のデータファイルを作るときのテンプレート(鋳型)になるファイルです.JSA 麻酔台帳のバージョン変更などの際には書き換えが必要になります.
ここで付けられた長いファイル名は JSA 麻酔台帳システムの仕様によるものです.麻酔台帳システムへ転送する際に,このファイル名が必要ですので,変更しないでください.(他の目的に使用するときは変更して下さっても構いません.)
毎回の保存には 日時,保存に使用された端末機番,保存を実行したユーザー名(ただしユーザー名は個人認証機能が使われている場合のみ)と保存先フォルダ/ファイル名 の記録が,麻酔記録の各患者データ上に残されます.
JSA 麻酔台帳は,各データ項目に,その名称とともに“コード”と呼ばれる符号をつけて送らなくてはなりません.例えば職員名:越川正嗣に対して職員番号:1064 を割り当てるようなものです.そうしないとJSA 台帳はデータを受け付けてくれません. 麻酔台帳ソフトの画面から手作業で入力する場合には台帳ソフト内部で自動的に割り当てているようです.しかし, paperChart 側で設定されたコードが JSA 台帳内部で他の名称に割り当てられて既に使用済みであった場合,JSA 台帳での内部の割り当て済みの名称に化けてしまうようです.病棟名,手術室名,科名,職員名はそれぞれの施設によって異 なりますので,それぞれに対応するコードも各施設において付与していただかなくてはなりません.インシデントレポート項目と 使用薬剤に関しては日本麻酔科学会が定めたコードを,すでに付けています.術名には診療報酬請求番号を,病名にはICD10 コードをつけています.ICD9-CM 術名コードや手術・処置の区分コード(K-xxx)は手術名と1対1の対応をしていないので使っていません.病名と術名に各施設固有のコードをご使用になっている場合は各施設で書き換えてください.職員 名や科名,病棟名,手術室名にそれぞれ固有の番号を付加する方法については「メニューファイルの書き方.pdf」 の「JSA 麻酔台帳対応のために行うべき変更」の項をお読みください.
送出データ(XML ファイル)は JSA 台帳ソフトに読ませるために,日本麻酔科学会指定の暗号方式で暗号化されています. そのための暗号鍵はCONF\dircnf.txt のjsa_crypt_key 句で指定します.この行を削除(またはコメントアウト)すると,データは暗号化されずに平文で出力されますが,平文では JSA 台帳は受け取ってくれません.平文は個人情報を読める形で含みますので取り扱いに注意してください.
サマリーのページを作りました.
これは時間軸を伴う表示を含まない(つまりバイタルサイン欄,薬剤投与欄,記号欄,警報色表示欄を含まない)テキストだけのページです.
関係する変更箇所: dircnf.txt,dspcnf.txt,txtcnf.txt をご覧ください.
今まで,dircnf.txt 内の command{ }節の print{ },print_preview{ },bitmap{ }の各節の中で
sheet = シート名;
abscissa = 時刻幅(abscissa{ })番号;
(abscissa{}は parcnf.txt 参照)で経時的な記録表示の縮尺を決めていましたが, これを trend_sheet=…にひとまとめにします.
trend_sheet = シート名 時刻幅番号 ;
と書いてください.さらに summary_sheet=…という句を設けました.
summary_sheet = シート名 ;
サマリーシートは麻酔が何時間になろうとも常に1ページで経時的なプロット表示を含みません.テキストのみですので時刻幅番号はつきません.サマリーシートは,print{ },print_preview{ },bitmap{ }の各節の中でそれぞれ(書式の異なるシートを) 4つまで列挙できます.麻酔科用,病棟用など複数必要な場合はそれぞれの書式を作ってください.
とりあえず,サンプルデータを開いて,「チャート印刷」してみてください.最後のページがサマリーページです.術前評価や術後評価などの欄の横幅は「記載…」ボタンで入力したときの改行位置によっていますが,欄の最大幅を指定することもできます. この場合は本来の改行位置は無視されます.(後述)
dspcnf.txt の変更
サマリ用の screen 定義には trend_graph = no; と入れてください.trend_graph= 句を書かないときは yes の意味になります.サマリ用のシートには comment_column { } と txtcnf.txt ファイルに書いた文字列を表示します. comment_column { } は,各記号(麻酔開始,挿管など)の時刻,コメントなどを列挙表示します.
comment_column { } の設定方法が少し変更になりました.
いままでカラムの幅は line_width = … ; という形式で,文字数で表していましたが,left,right,top,bottom の座標で外枠を表し,devide=…; でそれを何段に分割するかを指定するスタイルに変更しました.MSWORD の段組と同じ形です.txtcnf.txt の末尾のほうにサマリ用の設定を書いています.
txtcnf.txt の書き方の変更
text=…; で文字列と計算式名を書きますが,書き出しの左上の座標を x=…; と y=…; で指定します. 今回からw=…; という指定を新設しました. w で1行の最大幅を (文字数ではなく) ドット数(標準座標)で表します.この値を指定すると,本来の改行位置 (入力のときにEnter やAlt+Enter が押された位置) は無視されて一つながりになります.この指定を解除するときは w=none; とするなど,右辺を数値でない文字列にしてください.
ネットワーク接続されている場合の「モニタ再開」の方法を変えました.
dircnf.txt の data_directory が \\ で始まっている場合,つまり,remote host を指している場合は,「モニタ再開」でダイアログ画面が表示されます.その画面には(他室も含めた)過去30分以内にモニタ終了した症例が表示されます.ここからモニタ記録を再開する症例を選んでください.麻酔中にパソコンが故障して入れ替えたときやリカバリで記録を続行したいときにお使いください.ただし,モニタ終了して30分以上経った症例を{モニタ再開}することはできません.
ネットワーク接続に関するご注意
ネットワーク経由で 他のパソコンをデータサーバーとしてご使用になるときは, dircnf.txt 内に記載されているdata_directory と demograph_menu_directory, inout { } 中 の master_directory は 必 ず \\ で 始 ま る remote host 名からお書きください.もし,remote drive として local host に mount して使用された場合,麻酔中のネットワーク切断によって当システムは動作しなくなります.
当該 directory が \\ で始まるときは,local host 上にデータのコピーを作り,通信が途絶えたときには自動的に stand alone モードで動作を継続しますが,“H:\…”などのドライブ名で始まるパスに対してはデータの二重化を行いません.
本システムのネットワーク機能は Microsoft Windows Network というファイル共有機能を用いています.つまり,NetBEUI の特性上,ポート番号 137,138,139 のパケットがrouter を通過する必要があります.しかし,NetBEUI のホスト名の伝播はbroadcast パケットを頻繁に発生させ,あまり広範囲に適用するのは好ましくありません.さらに broadcast は異なるネットマスクを持つセグメントへは到達できません.そこで,異なるセグメントに置かれた PC をサーバーとしてご使用になる場合は,上記のremote host の指定はコンピュータ名ではなくIP アドレスを用いて,\\192.168.25.20\public\・・・などと表記なさることをおすすめします.
文書の著作権について
マニュアルカテゴリーの本記事の内容については、越川先生のお作りになられたpaperChartマニュアルをPDFの媒体からwebへ記述変更させていただいているため、本記事内文書の著作権は越川先生にあります。
詳しくはこちらにも記載しています⇒https://gabunomi.info/pdf_manual/
(出典元:paperChart.net)
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